要の純然たる日記(旧館)

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ソマリアはソマリ人の国だが、ソマリ人はソマリアだけではなくエチオピアにもケニアにもまたがっている。ソマリ人の領域にテキトーに線を引いたのは英国とイタリアで、第2次大戦前には現在のソマリアの北部は英国領ソマリランド、南部はイタリア領ソマリアだった。
ソマリアというと内戦が延々と続いている無政府状態を想像するが、北部のソマリランドの部分は(大規模な武器に関しては)武装解除も完了して「ソマリランド」として民主国家が樹立されている(認めている国は少ない)。
ソマリ人は氏族主義で、国民はほぼ全てどこかの氏族に属しており、様々な決定は氏族として行われる。日本で伝統的には出身地のムラへ所属しているのと同様に、遊牧民なので、元々の氏族に所属しているようなもの。ただしソマリランドの政治は氏族とは切り離されている。安全地帯。麻薬のカート吸い放題。
ソマリア東部にはプントランドと呼ばれる政府があって、ここは氏族主体で政治が行われている。氏族として止める理由がないので海賊行為が盛ん。
南部のソマリアは激しい内戦状態。作者が言うには「リアル北斗の拳」。分かりやすい。
ソマリ人を語るのに氏族を抜きにはできないが、氏族の名前はイサック、ダロッド、ハウィエ、ラハウェイン、と日本人には馴染みが薄い名前。そこで作者は、日本人に分かりやすいアナロジーで、藤原氏、源氏、平氏、などの日本名で説明している。はじめは馬鹿にされた気がしたが、こっちの方が分かりやすいのは確か。素晴らしい工夫。